上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。

人は命を食べて生きている

ここでは、「人は命を食べて生きている」 に関する記事を紹介しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
もう何年も前、はじめて子どもを水族館に連れて行ったときのことだ。
そこはガラス製の巨大な水槽が呼び物で、中では数百種類の魚たちが遊泳していた。
知らない魚もすいぶんいたが、私が見てもすぐにわかる、アジやイワシ、シマアジ、タイ、それにカツオとマグロも泳いでいた。
私はそれらをぽかんと見上げながら、思わずつぶやいた。

「美味そうだな」

すぐに傍らにいたカミサンにたしなめられたが、私にとって水槽の中を泳いでいる魚たちは、いけす料理の居酒屋の巨大版みたいなものだった。
「イカ刺し一丁!」
なんて言いながら、網でイカをすくい上げ、その場で刺身にしてくれる、アレだ。
もちろん、水族館で刺身料理を出す居酒屋コーナーはなかったけれど。

くじら
近年は、イルカウオッチングやホエールウオッチングなどというものが流行している。
イルカやクジラが棲息している海域まで行き、それらの泳ぐ姿を間近で眺める。
巨大なクジラが姿を現し、潮を噴き上げる様子は迫力満点。
というよりも、その姿になにやら感動してしまって泣き出す人までいるという。
イルカは触れあうことで障害を持った子供を癒す効果があると言われ、イルカセラピーは日本でも行われている。

イルカやクジラを見て感動したり、癒されたりする人は、これらの動物の漁をすることをどう思うだろう。
もしかすると私などはホエールウオッチングをしたら、あのヒレが美味そうだとか口走って顰蹙を買うのだろうな。

食文化というのは、国によって昔から受け継がれてきたものであり、世界中の人間があのイヤらしいマクドナルドのハンバーガーを食べるようになっても、かろうじて固有性を保っている。
日本にしてみれば、クジラ食や(私は食べたことないけれど)イルカ食、イノシシ、シカ食などが歴史ある食文化として残っている。
韓国や中国などではイヌ食が行われているし、中国ではクマの手が最高のごちそうとして食べられている。
世界中をみわたせば、ほんとうにいろいろな動物が、人間のために食べられている。
エジプトの方ではラクダの丸焼きなんかもあるそうだし、アジアから中東にかけては山羊や羊がごちそうになっている。これらの動物は単に食料としてだけでなく、神に捧げる生け贄として命を捧げられたりもしている。

さて、今、捕鯨国である日本と、捕鯨に反対する国々とが対立している。
ことにここ数日は、南極海で調査捕鯨をしている「日新丸」とアメリカの反捕鯨団体「シー・シェパード」が衝突して騒ぎを起こしている。
私はグリーン・ピースにしろシー・シェパードにしろ、環境保護運動と称して活動している彼らの「運動」は奇矯なものに見えるし、ヒステリックな感じがして好感を持っていない。妨害活動として日新丸に飛び移ったり、薬品を投げつけるという手段が、環境保護に馴染むようには思えない。
シー・シェパード
一方、「調査捕鯨」と称して、世界的には捕鯨を禁止する動きが大きくなっている中で捕鯨を続けている日本のあり方にも疑問を持っている。調査の名目でクジラを殺し、その肉は高級食材として日本各地のクジラ料理屋に流通させているところが、なんとなく卑しい感じがする。調査と商売は、どうやって結びついているのだかはっきりしていない。

私もクジラは美味いと思うよ。
小学校時代は給食で出てくるクジラの竜田揚げなんか好物だったし、クジラのステーキも悪くなかった。オトナになってからは高級食材になったからあまり食べてないけれども、おでんで食べるサエズリとかコロなんて、美味いと思うよ。
それだけじゃない。クジラはゼラチンの原料でもあるし、油は鯨油として使われていたし、ブタや牛がそうであるように、クジラも無駄なく使われていたと思う。

しかし、今はどうだろう。
「調査捕鯨」とか看板を付け替えてまでクジラを捕獲して、食べてやろうとは思わない。第一、クジラの調査とは捕獲しなければできないものなのだろうか。そのことさえよくわらないのだから、日本がやっている調査捕鯨は反捕鯨国からは理解されなくても仕方がないところがあると思う。
鯨は増えている。増えるに任せていたら、他の魚を食われてしまう。だから頭数を調整しなければならないという理屈があるようだが、どの種類がどれだけ増えているのか、そしてその結果としてほんとうに漁獲被害が生じているのか、ほんらいなら日本は具体的にデータを示さなければならないだろう。

私はそろそろ、鯨食はあきらめてもいいときに来ているのじゃないかと思う。
もういいじゃないか、大人になろうよという気がしている。
それに、裏の流通でしか食べられなくなってきているところに不正が働いているような気がして嫌な気がしている。

一方、反捕鯨国のエキセントリックな反応ぶりにも違和感を持つ。
彼らはクジラのような知的生物を殺すのは残酷だという。
まず、その理屈があまりに幼稚だ。
日本でも、「シー・シェパードを撃沈して捕鯨船を助けるべきだ」と言った自民党の中川昭一みたいな幼稚でアホな男もいるけどね。
0803100109.jpg
この問題になると、泥沼にはまったようになるので本当は嫌なのだ。
けれどもあえて言うならば、クジラやイルカを殺すのが残酷ならば、牛や豚やニワトリを殺すのは残酷ではないのか。ということに、どうしたってなるではないか。
こういう問題になると、理性よりも生理の方が先に立つから面倒くさい。
百歩譲ってクジラやイルカを殺すのはカワイソウだとする。で、牛や豚やニワトリは殺されても仕方がないとする。
それでは羊は? 山羊は? ラクダは? イヌは? アザラシは? カンガルーは?

グリーン・ピースやシー・シェパードが動物保護とか環境保護を叫ぶなら、それらまで徹底して反対行動をおこすべきだろう。それともクジラやイルカ以外の、食用にされている動物は知的生物ではなくて、殺されても仕方ないというのだろうか。

欧米人の、この手のエゴイスティックな考え方にはほんとにウンザリさせられる。
私は牛や豚やニワトリだって、ほんとはカワイソウだと思っているよ。
カワイソウで、申し訳ないと思いながら、それでも生きるために仕方ないから美味しく頂こうと思ってる。食べる限りはできるだけきれいに食べてあげようと思ってる。
牛や豚やニワトリがムダに殺されて、その肉が偽装だとかなんだとか、人間の欲望のために勝手に捨てられていくのを見ると、無性に腹が立つ。
牛や豚やニワトリは、殺しても当然の知的レベルが低い動物だなんて考えているとしたら、そういう考えを持っているやつこそ知的レベルが低いと思う。

私の家から東京方面に高速道路を走っていくと、しばしば大きなトラックの後ろにつくことがある。
そして、それらの荷台には、びっしりとカゴに入れられたニワトリが積まれていたりする。あるいは何頭もの豚が、じっと並んでいたりする。
大きな牛が、荷台にくくりつけられてこちらを見ていたりする。

私は運転していて、涙が出そうになる。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
ごめんな、人間のために、すまないな。そう心の中でつぶやいている。
屠畜場
食べたっていい動物、食べちゃいけない動物。
世の中にそんなものは存在しない。
けれども、人間は、生きて行くためにそれらを食べてきたのだ。
私は、クジラをめぐる争いを聞きながら、毎日のように目の前に供される動物たちの肉を前にして瞑目する。

人は命を食べて生きている。命を食べなければ生きていけない。
不毛な争いを続ける前に、
そのことを冷静に、真面目に考えてみたらどうなのだ。


※付記 屠畜の現場(http://homepage3.nifty.com/kojirotoyuki/tochiku.htm)より。
福岡県にある屠畜場では、1日平均60頭の牛と250頭の豚を処理している。年間の屠畜頭数は牛が1万6000 頭、豚は6万頭。だがこれも日本全体から見ると微々たる数である。国内で屠畜される牛は年間140万頭、豚は1700万頭。加えて豚肉は国産の6割の輸入があり、牛肉の輸入量は国産の2倍に上る。つまり日本人に食べられるために「いのち」を提供する牛は年間400万頭、豚は2700万頭にもなるのだ。これに輸入分を含む10億羽の鶏や膨大な数の魚介類などを加えると、我々の「生」が無数の「死」によって支えられていることがはっきりと見えてくる。


ブログランキングに参加しています。
↓よろしければクリックを↓


にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
こんばんは。七鉄斎です。

拝読しました。
やっぱりプロって格が違いますね。
小生の様な、素人が勢いだけで書いている文章とは
説得力が違います。まあ、逆立ちしても追い掛ける
ことすら出来そうに無いので、小生は自分なりに
「出来の悪い4コマ漫画風」に書いていくつもりです。

閑話休題
拝読していて、親父の台詞を思い出しました。
(昭和一桁生まれ。まだ健在です)
生き物を食べる為に殺すのが悪いんじゃない。
殺したものを粗末に扱ったり無駄にする事が悪いのだ
。」
食料に苦労した世代だから、食べ物を残したり粗末に
したりすると、「○○に謝れ!」と叱られたものです。

自分がそこまでの迫力をもって、子供に食べ物の大切さ、
つまりは命の大切さを教えているか、自信が持てません。
今日から心掛けてみようと思います。
2008/03/10(月) 19:54 | URL | 錨七鉄斎 #m399y5vg[ 編集]
七鉄斎様

コメントありがとうございます。
お父様の言葉、貴重ですね。
私も、子供たちには「道ばたに平気で痰を吐くやつと、食べ方が汚い者とは一緒になるな」と言っています。
その真意が伝わってくれるかどうか、心許ないところですが。
2008/03/10(月) 20:40 | URL | ooaminosora #-[ 編集]
本当に肉食する人が存在する限り、毎日大量の家畜は殺され続けていくのですね。
今回、世界中で日本の捕鯨が騒がれている理由は、わざわざ日本から南極海まで出かけて殺しているからです。日本近海での漁だったら、これほどまでに大きな騒ぎにはならなかったでしょう。
2008/03/11(火) 01:40 | URL | 美爾依 #HfMzn2gY[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://funnyarome.blog82.fc2.com/tb.php/60-e8c8e14d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。