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悪い奴ほどよくしゃべる~竹中平蔵vs金子勝

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昨日の夜、NHKで「激論2009 世界はどこへ そして日本は」というスペシャル番組をやっていた。

前日の夜中、つまり元日の夜中にはテレビ朝日が「朝まで生テレビ」で「崖っぷちニッポン 脱・貧困ドーする?! 経済・雇用危機」を放送していたが、例によって出演する国会議員ら(大村秀章、高木陽介、それに哲学者の小川仁志)のマナーが悪く、人の話を遮って自説を押し通す悪癖の応酬が続いて辟易させられた。せっかく湯浅誠や河添誠らの話が聞けると思っていたのに、司会の田原総一朗はあまり話をさせようとせず、社会保障と雇用のセーフティネットが必要だという一応の結論点まで達したところで「しかし、昔の日本には倫理観というものがあって、働かないのは恥ずかしいことだという気持ちを持ったものだ」と言い出してそれまでの議論をひっくり返して見せたのには苦笑せざるを得なかった。

田原総一朗の耄碌ぶりが目についた。彼はもはや、人の話について行くこともできなくなっている。それでいて、社会保障の財源はまず金持ちから税金として徴収すべきだという話が出ると、高額所得者であろう田原はムキになって「そんなことではこの問題は絶対に解決しないんだよ」と言うあたりがいかにも醜く、田原のゼニへの執着をうかがわせていた。

どう見ても品が悪かった「朝まで生テレビ」に比べると、NHKの番組は「新春ガチンコトーク」などと銘打っているわりには皆、お行儀がよく、それはそれで物足りなさを感じないわけにはいかなかった。
出演したのは小泉改革を推し進めてきた最大の戦犯、竹中平蔵と八代尚宏、岡本行夫、社会民主主義的立場を取る側から金子勝、山口二郎、斎藤貴男。そして政治的にはどっちつかずの立場を取る勝間和代。

私としては竹中平蔵金子勝、山口二郎らがどれだけまともにぶつかり合うのかが楽しみだったのだが、番組自体が2時間の中に「経済問題」と「外交問題」「グローバル化」という3つの柱を設けているためにいずれも話が深まることがなく、欲求不満が残る内容になってしまったのが残念だった。

しかし見ていて思ったのは、竹中平蔵の饒舌ぶりだ。
金子勝が最初に「ブッシュ=小泉型改革からの脱却」を挙げ、市場原理主義にもとづくこれまでの改革が結局は破綻して現在の経済危機が起こったのを、まず反省することが必要だと言ったのに対して、竹中平蔵は例によってヘラヘラした顔で、現象に対してすぐに「原理主義」などというレッテルを貼るのは悪い癖だと茶化し、今見舞われている金融危機なども自分が唱えている改革が中途半端な形で止まってしまった結果なのだと主張、金子の言うように原因を探って犯人捜しをするような真似をするよりもこれからどうするかを考えることの方が重要だと切って返す。
竹中は自分に都合の悪い部分は巧妙に「そこは直すべき部分だ」と言い逃れながら、これまでの反省などは微塵も見せる様子がない。

番組全体がこのような調子で、金子や山口が格差をなくし国民が安心して暮らせるような社会を作る必要があると訴えれば、竹中と八代はそのためにこそ改革がさらに推し進めなければならないという論調でやり返す。その連続だった。
見ていると、考えながら話をする金子勝とやや訥弁な山口二郎に対して竹中はペラペラとよくしゃべるので、どうしても優勢なのは竹中側に思えてくるのがもどかしい。

派遣切りがある一方で、企業には空前とも言うべき社内留保があるという問題についてもそうで、金子はこうした事実を反省する必要があると言うと、竹中は非正規雇用は正規雇用を厚く待遇しすぎてきた結果出てきた制度であり、改革のシステムが悪いというのは間違いだと言い返す。
これにはさすがに、斎藤貴男がむっとした口調で「構造改革が理想として求めてきた形の結果がこの事態であり、そう言う主張をするのは狡いのではないか」とやり返す場面もあった。
わずかでも溜飲が下がったのはこの部分くらいだった。

とにかく竹中はヘラヘラペラペラ良く喋る。
金子勝があらためて市場原理主義の弊害を言うと「まだあんなこと言ってる」と小声で司会者に囁く。
竹中は積極的にマスコミに顔を出してきたが、その経験はこうしたチャチャの入れ方にも役立っているのだろう。
そうして人を舐めた態度を取っておきながら「これから必要なのは法人税をさらに引き下げることだ」という自説だけは言うことを忘れない。これに対してNHKは、金子には「そんなのは反対ですよ」とつぶやく機会しか与えなかった。
全体に中立を装いながら、NHKは巧妙に竹中組の肩を持っていた印象が拭えない。
番組が終わってみると、竹中が言ったサッチャーの言葉の引用だけが妙に印象に残るのだ。
「金持ちを貧乏にしても貧乏人が金持ちになるわけではない」
そして竹中は「必要なのは貧困を救うことなのです」とつけ加えた。

しかし竹中の言うことはもっともなように聞こえながら欺瞞に満ちている。
なぜなら、税制というものは社会全体が持ちつ持たれつの関係を築きながらよりよいものにしていくことを目的にしているのだから、大きく儲けている企業や富裕層からはその分多く徴収するのは当然の話である。竹中や八代は法人税を引き下げれなければ優良企業はみな海外に逃げ出すと脅すが、優れた技術力、人材、治安などの面で日本はまだまだ海外に劣っているとは考えにくい。
おそらく金子勝にしても山口二郎にしても、竹中に対してはもっと言ってやりたいことがあったはずだが、NHKは時間を仕切ることでそれを避けていた。結果として竹中らの主張の方が現実的で理に適っているかのような印象を与えてしまっている。

今年はNHKの報道や番組製作の在り方にも注意していかなければならないと思わせた元日の番組であった。

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コメント
この記事へのコメント
明けましておめでとう御座います。
本年も宜しく御願い申し上げます。


竹中平蔵の親分の小泉元首相も、テレビメディアを
上手く使った政治家でしたね。

昨今の日本では、「訥々と道理を説く人」よりも
「滔々と格好良く喋る人」の方が人気があります。

ヒトラーがその辺の大衆心理を上手く利用して
独裁体制を作っていった事を思い返すと、末恐ろしい
感じがします。
2009/01/02(金) 18:01 | URL | 錨七鉄斎 #m399y5vg[ 編集]
。。よくしゃべるし、恥を知らない。これはひとつの財産であろう。

岡本、八代、竹中、の言行録をビデオで流すべきだったですね。討論会など不要。

それにしても、三宅というNHK職員。田原総一朗、とともに引退しテクれんか。
2009/01/02(金) 19:30 | URL | 古井戸 #Odn1FXQk[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/01/02(金) 20:11 | | #[ 編集]
金子勝、山口二郎、斎藤貴男でしたかぁ。見ておけばよかったです。

しかし、竹中ってのは、根っからの「勝ち組」優遇論者なんですねぇ。デキル者がさらにやりやすい環境を! 能力のある者がさらに飛躍しやすい制度を! てな感じでしょうか。

私なんかは、デキル者は立ち止まってデキナイ者に手を差し伸べるくらいのことをすべき、能力のある者は自分で工夫して合法的にステップアップしていけばよい、というふうに思うのですが、連中は下々のことなど眼中にないのでしょうね。

勝間和代は、どんな感じでしたか。
彼女、何なんですかねぇ。子どもの教育の手が離れたら、政治へ出ようとでも思っているんですかねぇ。そのための準備活動のように思えてなりません、最近の売名行動を見ていると。ま、個人の自由、権利なんですが・・・。
2009/01/04(日) 09:57 | URL | 風 #9CJgV/mU[ 編集]
風さん
私も出演メンバーにひかれて見たのですが、がっかりです。金子勝、山口二郎、斉藤貴男は竹中平蔵を吊し上げてやる気概がなければなりませんでした。それが私たちが求めていたことですから。
勝間和代はおそらく政治よりはフェミニズムと子育て論だけで生計を立てていこうとするイケイケ女なのでしょう。出演者に自分以外女性がいないことにまず注文つけてましたから。最近は自己啓発書も出したようですが、興味の湧かない対象です。
2009/01/04(日) 12:03 | URL | 名を名乗れ #v64swWl6[ 編集]
「税制というものは社会全体が持ちつ持たれつの関係を築きながらよりよいものにしていくことを目的にしているのだから、大きく儲けている企業や富裕層からはその分多く徴収するのは当然の話」

ここについてです。
まず、所得税について。
所得税はこれ以上あげることは不可能です。
なぜか?

もっとも所得税率の影響を受けるのは、中間層です。
高所得層は、会社を設立したり、海外へ出たりして税金を逃れることが出来ます。
中間層というものは、周知のとおり、経済の最も大きな担い手です。
また、イノベーションの担い手でもあると思います。
その中間層が無くなるのは日本という国家にとって損失であると考えます。
したがって、所得税の引き上げは、
逆に海外へ財産を移したり、税逃れの誘引になり、金持ち優遇になるのではないか?
と考えています。

また、法人税率を上げることは不可能です。
「良企業はみな海外に逃げ出すと脅すが、優れた技術力、人材、治安などの面で日本はまだまだ海外に劣っているとは考えにくい。」
とおっしゃいますが、現実どうでしょうか?
近頃の新聞にはずいぶんと海外へ企業が逃れる記事が出ますが。
製品がコモディティ化する中で、おっしゃる日本の強みが相対的に意味を持たなくなってきたと思います。

金持ち優遇と切るのは簡単ですが、その名の下に起こることで、
若年層・中間層が苦しむのはかわいそうです。
2009/01/18(日) 23:12 | URL | 高橋 #SFo5/nok[ 編集]
高橋さんのおっしゃる「所得税引き上げは不可能、高額所得層には意味がない、中間層に被害が及ぶだけだ、それは金持ち優遇の意味もある」「法人税率引き上げは、現実には企業の海外逃避を増やすだけだ」と言う論理がこの10数年、特に竹中、小泉の経済政策路線を支えるものとして、国民をだまし続けてきたのではないかと思っています。そして、若年層、中間層と言われてきた人たちが、もっとも深刻な格差社会の苦しみを与えられる状況となってきたことです。
こうした「竹中、小泉論理の呪縛から抜け出そう」と言うことが多くの心ある人たちの間で真剣に考えられるようになってきたことです。フンニャロメさんのブログもこうした立場からの問題提起をして下さっていると言うことで読ませていただいています。高橋さんもぜひ、若年層、中間層の被害がこれ以上大きくならないよう、「竹中、小泉論理の欺瞞」をどのようにして暴露することができるか、一緒に考えてください。
2009/01/19(月) 17:04 | URL | 河原の枯れすすき #-[ 編集]
1.竹中の言う法人税を下げたらどうなるか?企業は利益が増えて、人件費の安い国に現地法人投資で、日本で新たな研究開発、事業展開も少なく、雇用・賃金の改善は出来ないと思う。
2.企業は、雇用によるリスクを考えるなら、IT化・自動化をとことんまで進めて、無人化工場を目指せ。エネルギー効率を高めて二酸化炭素を削減して、生産性向上をはかるべきだ。であれば国際競争力も上がるはず。人づくりは、製品・生産設備を開発・維持する中で研究者・設計者・職人(技術者)をつくり、他国企業の追随を許さないことだ。
3.雇用問題は、医療介護・農業・環境・サービスに国の投資を大きくシフトすることだ。医療介護の雇用は、職場環境、所得の改善を急務になさなければ、職業のシフトをしないだろう。医師・看護師・介護士の増員、地域中小病院の経営改善とIT化(電子カルテとオンラインレセ請求)、診療報酬制度の改善、報酬のアップと患者負担率の切り下げ、特養老人ホーム、デーサービス施設設立のため個人資産をベースにしたファンド投資等々を行うこと。農林業へのシフトは、規制を緩め大規模農業、小規模営農者、地産地消、自然農法等々のいろいろ形態があっていい。消費者のニーズは多様であり、安全健康の提供を理念に自給率を高めること。環境は、税制上の優遇で企業に新事業として取り組ませ、当分の間は、法人・事業税は無税としたらよいのではないか。
サービスは、日本の「おもてなし」と「ITシステム」を輸出することだ。
4.大きな政府と小さな政府について。行政経費が少なくて済む小さな政府が良いと誰も思うはず。竹中は批判をされたとき【大きな政府でいいですか?】といっているが、小泉・竹中・自民党・官僚がこれまでやってきた実績は、民と独法に利権をシフトした大きな政府で、「小さな政府」になっていない。とにかく国と地方の重複機関の廃止、人員の削減、IT化による行政の簡素化を行ってコストカットを行うこと。
5.国の政策は、供給サイトから需要サイトへチェンジして、予算の使い方を消費者・ユーザーのボトムアップ・需要喚起政策に変更する。
6.民主党のマニュフェストは、大部分に賛成できる。自民・公明は小泉竹中の呪縛からどうしても脱しきれない。言葉が踊っている。
2009/08/10(月) 17:22 | URL | 伊勢声壮年 #-[ 編集]
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2009/01/04(日) | 今日の喜怒哀楽
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