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小泉政権の総括に見る日経・読売・朝日のひどさ

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小泉純一郎が突然引退したことを受けて、今日の全国主要三紙の社説はそれぞれ小泉政権総括する形となっている。
それにしても思うのは、小泉政権が残したものは国民生活をぶち壊し、格差の拡大、社会保障の切り捨てで今もなお続く「痛み」を残したのが最大の「負の遺産」であるのに、そのことを正面切って非難する姿勢が三紙ともほとんどないということだ。
これには少々呆れてしまった。

いちばんひどいのは日経新聞で、これは株屋の新聞なのだから新自由主義的立場から小泉政権を評価するのはもっともなことだともいえるだろう。

社説ではまず「政権を5年5カ月維持し、旧来の財政依存型の景気対策を封印し、不良債権処理を着実に進めて日本経済の再生を図った功績は大きい」と評価し、誕生した麻生政権が景気対策最優先を掲げてコイズミ路線の転換を図ろうとしていることに一抹の寂しさを感じさせている。
そしてコイズミの政治手法は型破りだった、郵政総選挙で自民党を圧勝させた手法はコイズミ政治のハイライトだったと懐かしみ、コイズミが竹中と組んで改革を推し進め、金融を正常化したことを高く評価している。

マイナス点をつけているのは靖国神社参拝で日韓関係を悪化させたこと、そして引退にあたって次男を後継者に指名したのがコイズミらしくないということだ。

総じて日経はコイズミ劇場が日本に大きな改革をもたらし、その方向性は政権が変わっても維持したまま推し進めることが経済成長につながるという論調だ。
やっぱり株屋さんはこれだけ社会が疲弊していても、新自由主義にしがみついていなければ納まらないということだ。

次いでひどいのは読売新聞。
読売はこれから「構造改革後」が問われているとして、一応はコイズミが行った郵政民営化や道路公団の民営化の評価が定まるにはまだ時間を要するとしている。
しかし「自民党をぶっ壊す」「聖域なき構造改革」のスローガンによって自民党が8割を超す驚異的支持率を得たことを書くのは忘れない。そしてやはり金融機関の不良債権処理を果たしたことを評価し、郵政総選挙では「刺客」を立てるポピュリズム的政治手法は政治をエンターテインメント化する弊害をもたらしたとしながらも、外交面ではイラクへの陸自派遣が歴史的政治決断だったとし、PKO以外で初めての陸自の海外派遣は日本の国際平和協力活動に新たな地平を切り開いたと絶賛している。

さすがは右派の読売新聞。面目躍如だ。

さらに北朝鮮外交では金正日に日本人拉致を認めさせ、近隣国の国家犯罪を白日の下にさらし、日本人の安全保障観をただす契機にしたと礼賛する。

これらの外交的成果に比べれば、新自由主義的経済政策が拝金主義の風潮を生んだことや社会保障制度や税制改革の問題が今の社会に重くのしかかっていることなど小さい問題だと言いたげである。
読売は麻生太郎が集団的自衛権を容認し、憲法改正を進めるのを待ち焦がれているのだろう。
コイズミが靖国神社を参拝し続けて日中関係が悪化したことにも触れているが、この新聞が構造改革を否定するものでなく、今後も日本の右傾化を望んでいることは明らかだ。

最後に、もっともリベラルな立場にあるはずの朝日新聞だが、ここでも「小泉氏引退―あの熱狂はすでに遠く」と、妙に小泉時代を懐かしむタイトルをつけている。
そしてコイズミが行った一連のポピュリズム的手法が新しい政治スタイルで国民を熱狂させたと礼賛し、イラクへの自衛隊派遣問題では「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域だ」とか自身の年金にまつわる問題では「人生いろいろ」と言を左右に言い逃れたことを「小泉氏一流の突破力」だったと讃えている。
冷ややかにコイズミを見つめていた国民からすれば、あれほど国民を舐めきった態度はなかったと、今でもハラワタが煮えくりかえる思いがするのだが。

朝日はさらに、バブル崩壊後の低迷時、有効打を打てない自民政権のなかで政治の有り様を変えたのがコイズミだったと、またも礼賛している。コイズミ改革は多くの劇薬をふくみ、社会に負の遺産も残したとしながら、コイズミがやり残した課題は次の政権が引き継がねばならないとしている。
これって、改革をさらに推し進めろということだよな。

結局三紙とも小泉政権が何だったのか、国民に何をもたらしたのかを冷静に客観的に総括するというよりも、コイズミという男がいかに型破りな政治家だったかを懐かしみ、彼が敷いた改革という路線、対外的には集団的自衛権容認そして憲法改正という右傾化路線を煽る形になってしまっている。

いいのか、大新聞がこんなことを書いていて。
これではまったく国民が感じている不安や痛みから発した目線が欠けているではないか。
そうした目線から見れば、コイズミという男が行った政治は悪夢のようなものであり、負の遺産しか残さなかったというしかない。
小泉政権総括するならば、そうした視点が欠かせないはずなのに、主要三紙はまったくその点を軽視している。

こんな社説では、政治家たちは何も反省することがなく、さらに改革を進めていけば間違いはないと思うだろう。
なんだかんだ言ってもいまだに新聞が持つ言論の重みはばかにならないのだ。

今日の社説では毎日新聞だけが小泉引退を取り上げなかった。
その代わり、中山国交相の失言問題と麻生太郎の集団的自衛権についての発言を取り上げていた。
これは一つの見識だと思うが、小泉政権総括はいずれじっくりとやってもらいたいものだ。
正しい総括をしたうえで、われわれは新政権を選ぶ必要がある。

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関連タグ : 小泉政権, 総括, 朝日, 読売, 日経, 社説,

コメント
この記事へのコメント
小泉さんらしい幕の引き方ですね。
麻生内閣にはショックが大きいかもしれません。
それにしても後継ぎが次男でしたっけ、またも身内議員の登場でしょうか。
2008/09/27(土) 18:00 | URL | としき #-[ 編集]
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