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酒好き、映画好き、本好き、落語好き、バイク好き、そして鬱。 ちょっとばかり辛い日もあるけれど、フンニャロメ~と生きてます。
◎心にとめおく言葉
●人は、自分が見たいと思うものしか見ようとしない――ユリウス・カエサル
●為政者たるものは憎まれることはあっても、軽蔑されることだけはあってはならない。(塩野七生)
●自分に当てはめられない基準を他人に当てはめるべきではない
――ノーム・チョムスキー
●さまざまな知識人、文化人、政党やメディアは一般の人々よりも右よりな立場を取る――ノーム・チョムスキー
●考えろ、考えろ、考えろ!――ジョン・マクレーン

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「でも、犬を飼っていると癒されますよね」

私がはじめてその精神科を訪ねたとき、診療に先立ってソーシャルワーカーが身辺のことなどを細かく質問してきた。
そのなかで、私は以前通院していたメンタルクリニックで処方された薬のために躁状態になり、家族の反対も顧みずに犬を買ってしまったことを話していた。

「ええ。たしかに犬はかわいいと思います。でも、その犬を買う前に、ウチには3匹も犬がいたんですよ」

私の前に座っている男は、なるほどとうなずいて一生懸命にメモを取っていた。
彼はどう思っているのだろう。やはり異常だと感じただろうか。
私にしてみれば、犬を3匹飼うのも4匹飼うのも、それほど違いはないと思っていた。

ただしそれは大きな間違いで、犬というやつは平等に愛してやらなければ焼き餅を焼く。
一匹を撫でてやると、他の3匹が寄ってきて自分も撫でろと体を押しつけてくる。
頭数が一匹ふえると、それだけ愛情の量も増やさなければならないし、その配分にも気を遣わなければならなくなる。これでなかなか、神経がくたびれるものなのだ。

もちろん、かわいいやつだ。みんな可愛いさ。
しかしな。

我が家にいる犬たちは、小型犬といわれる部類に入る。それでも一匹10キロ程度の体重がある。
子犬の頃から抱いて育て、病気が心配なときには枕元において寝た私は、犬にとってはボスであると同時に母親のようなものでもあるのだろう。
4匹とも成犬になった今も、ことあるごとに私に抱かれようとする。
1匹を抱き上げると、もう1匹も抱けとやってくる。さらにもう1匹が、自分はどうなるのだと、私を見上げる。

私は鬱のせいなのか、もともと不足している能力が老化してきたからなのか、この頃はアタマの体力が弱くなってきた。ひとつのことを根詰めて長時間考えていられなくなってしまった。考えなければいけないときには、しだいに頭が重くなり、自分でもオーバーヒートしそうだと感じる。そうなると思考は機能しなくなり、私は呆然とディスプレイの前に佇むか、意を決して布団に潜り込むしかなくなる。

そうやって多少はリカバーしたとしても、なかなか脳は考えようという意志を持とうとしてくれない。
まったく困った体質だと思う。
そんな無様な自分にうんざりしながらも、やはりどうにもならなくて、私はリビングにあるソファにしばらく身を沈めようとする。そうしてじっと目を閉じる。

すると、ものの数分としないうちに、ドシンと鈍い衝撃がはしる。私は小さくうめく。
犬が私の体に飛び乗ったのだ。飛び乗った犬は満足したように私の体の上に横たわり、眠り始める。
しばらくすると、もう一匹、こんどは今年9歳になる老犬が、自分では飛び乗ることができないから抱き上げてくれと哀しそうな声を出して訴えてくる。
私は無視しようとする。
犬はあきらめない。

私は、結局負けてしまう。

犬をよっこらしょと抱き上げて、すでに横たわっている犬の隣に寝かせてやる。
犬は満足げな様子だ。
そりゃそうだろうさ。
私だってゆっくり柔らかなクッションの上で気持ちよく体を伸ばして寛ぎたい。
そうこうしていると、のこりの2匹が足下に来て私を見上げる。

「もう満員だよ」

私は諦めるようにいう。
犬も、私の体の上の状態を見て仕方ないと思うのか、脚の間に寄りかかって体をまるめる。
ときには諦めずに2匹の犬の間に飛び乗ってきて、私の胸板に尻を乗せることもある。

ソファで頭が回復するのを待ち、緊張を解きほぐそうと腰を下ろした私は、20キロ以上ときには30キロもの重しを抱えて結局少しも寛ぐことができず、しばらくするとその重みに耐えかねて立ち上がる。

犬を飼ってると、癒されるだろうって?

そりゃ癒されるとも。

でも、犬たちだって人間から癒されているのだ。
彼らはなにかしらエネルギーを与えてくれているかもしれないが、容赦なく、こちらからもエネルギーを奪っていく。
いいさ。お互い様だもの。

しかしなあ。
俺だって、のんびりとリビングで体を伸ばし、誰にも邪魔されずにひっくり返っていてみたいよ。

犬のように、何も考えず。



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