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酒好き、映画好き、本好き、落語好き、バイク好き、そして鬱。 ちょっとばかり辛い日もあるけれど、フンニャロメ~と生きてます。
◎心にとめおく言葉
●人は、自分が見たいと思うものしか見ようとしない――ユリウス・カエサル
●為政者たるものは憎まれることはあっても、軽蔑されることだけはあってはならない。(塩野七生)
●自分に当てはめられない基準を他人に当てはめるべきではない
――ノーム・チョムスキー
●さまざまな知識人、文化人、政党やメディアは一般の人々よりも右よりな立場を取る――ノーム・チョムスキー
●考えろ、考えろ、考えろ!――ジョン・マクレーン

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これまで学校で行われてきた歴史教育で、もっとも見直す必要がありながら未だにそれがなされずにいるのが日本の近・現代史教育だ。中学・高校とも縄文時代から編年式に教えるやり方は常に時間切れとなり、明治政府ができて殖産興業政策が採られ、対外的には日本帝国による軍拡・植民地政策が行われるようになったというところで3学期が終わってしまう。
里見甫

現代にもっとも身近にあり、現代史に大きな影響をおよぼしている近代日本の歴史が、「後は各自で勉強するように」とばかりに放り出されているのだ。
教育現場がなかば責任放棄するような状況にあるために、われわれの父祖の世代がたどってきた時代がどんなものだったのか、子どもたちは知らずに大人になっていく。
歴史教科書の記述問題がしばしば問題になり、それにつけ込むかのように、日本の戦争責任問題を中心に、とくに右派言論が扇動してねじ曲がった歴史観を植え付けようとしている現状にはまったく憂うばかりと言わざるを得ない。
東条英機

しかし昨日、NHKスペシャルで放映された「日本軍と阿片」は、日本が昭和のはじめから太平洋戦争にいたるまで、いかに手段を選ばず、汚い方法で中国を侵略し、戦争に突入していったかを反論の余地なく白日に曝したといえるだろう。

私が受けた日本史の授業では、もちろん太平洋戦争のことなど駆け足で触れる程度だったし、日本の戦争責任などに触れることもなかった。しかし、その後の「各自に任された」学習の中で、私は太平洋戦争が陸軍を中心とした軍部の暴走で起こされたものであり、政府は軍部が作り上げる既成事実を追認するしかなかった。その結果として戦争は起こるべくして起こったということを知った。

昨日の番組では、その陸軍が東条英機板垣征四郎を中心に阿片取引によって侵略を続けていたことを明らかにしていた。
満州国を樹立した日本は、南下しながら領土を拡張していったが、その最先端では中国人たちにケシを栽培させて阿片を造り、それを中国人たちに売りさばくことで国家予算には計上されない軍事費を作りだしていた。関東軍による侵略は、大規模になるほど莫大な戦費を必要とし、太平洋戦争直前には国家予算の75%以上が軍事費になるという目茶苦茶な状態になっていた。それでも費用が足りず、東条と板垣は阿片売買でそれを補おうと画策した。
中国には阿片中毒の人々がおり、彼らを救済する施設を造るという表向きの名目で阿片窟を各所につくり、そこで阿片やヘロインを吸引させていたのだ。
板垣征四郎

当初、国と軍は民間人の里見甫(さとみ・はじめ)に「宏済善堂」という商社を始めさせ、これを通して阿片を売りさばいていた。表向きは日本軍はもちろん、日本政府も阿片のことにはノータッチに見せかけていたのだ。
ところが、やがて日本政府は対中政策のために置いた「興亜院」内部で阿片取引を行うことにする。明らかに国と軍が阿片取引の元締めとなり、その後、宏済善堂は営業部門として“商売”を続けていく。その取引高は年間3億元、現在の物価に直すと560億円にも上ったという。

番組では、こうした事実を日本、中国、そして国際連盟のあったジュネーブに秘蔵されていた証拠文書によって明らかにしていく。
戦争に阿片を利用することは、長時間をかける残虐な行為であるとして、ヨーロッパ諸国は厳しくこれを監視していた。日本がひそかに行っていた阿片取引もすぐに情報が漏れ、日本は各国から非難されて世界から孤立する。松岡洋右が席を蹴って国際連盟を脱退したことは授業でも一応習った覚えがあるが、その裏にはこうした事情が働いていたということは初めて知った。
中国では日本が売りさばいた阿片のために年間数千人もの犠牲者が出たというが、阿片は中国人を依存症にして蝕んでいっただけでなく、日本という国そのものも重い依存症にして蝕んでいった。
回復不能なまでに蝕まれ、国が病んだ挙げ句に訪れたのが、あの敗戦だったのではないか。

太平洋戦争はソ連の国境突破で日本の敗戦へと向かっていくが、ソ連の攻撃から逃げ延びようとする軍人たちもまた阿片を利用していたという。もとより日本の金などは何の値打ちもなかっただろうから、彼らは阿片を金の代わりに使って逃げ道を確保したのだ。

なんとも重い内容の番組だったが、これを見れば日本史の授業に欠けている近・現代史の知識の穴を埋めるには大きな意味のあるものだったといえるだろう。
少なくとも、この番組を見れば、日本がいかに汚い方法で戦争を行い、中国人たちを犠牲にしてきたかがはっきりする。
いまだに日本には戦争責任はないだとか、あれは聖戦だった、アジアを救うために必要な行為だったなどといっている右翼の大馬鹿者たちには、膝を正して見てもらいたい番組だ。

■追記
番組の最期には、戦後、日本の阿片取引に関わりながら生き残った者の多くが口を閉ざしたまま生涯を終えたという、静かな批判の言葉があった。東条内閣に加わりながら(商工大臣)戦犯にならなかった岸信介などは、その最右翼といえるだろう。岸信介については「きまぐれな日々」が興味深いエントリを上げている。
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関連タグ : 太平洋戦争, 東条英機, 板垣征四郎, 里見甫, 阿片, 戦争責任,

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