
しかしホームセンターというのは、ある意味「魔の場所」であって、ヒメダカを買うはずが、DIYのコーナーを見ているうちに水やり用の蛇口を洗濯機と共用にしたいということになって二股の蛇口を購入することになったり、そういえばハンドソープもなくなっていたからと、台所用品のコーナーを探して詰め替え用のそれを買ったりと、だんだん買い物カゴが一杯になっていく。
私はといえば、セキセイインコのエサがなくなってきていたからそれを買うつもりでいたのだが、カミサンの買い物があれこれ終わって最後にペットコーナーに行き、まずはヒメダカを見つけて10匹購入した。
睡蓮鉢には2、3匹もいればいいのだが、最近わが家の水槽では熱帯魚が相次いで★になってしまい、ずいぶん淋しくなってしまった。ディスカスも3年以上生きてくれたのだが、最後の一匹も死んでしまって、いまではエンゼルフィッシュ2匹と、コリドラスなど小さな魚が数匹しか残っていない。
メダカは熱帯魚ではないけれど、まあ大丈夫だろうと水槽を賑わわせるために7匹いれることにした。
さて最後に小鳥のコーナーに行ってインコのエサも無事購入。
これで今日の買い物は終わりになるはずだったのだが、なにしろペットコーナーである。
いけないイケナイと思いながらも、ついつい足は動物たちがいる方に向いてしまう。
その向いた先が、今日は犬や猫ではなく、小動物の方だった。
そして、そこで私たちがほぼ同時に目を止めたのがコザクラインコだった。

体全体が若葉のような緑色をしていて、顔から胸にかけて、珊瑚のような紅色をしている。
なんとも美しい鳥だ。
コザクラインコは別名ラブバードとも呼ばれ、つがいにするとそれはもう仲睦まじく暮らすのだという。
しかし雄雌を区別するのが難しいため、多くは一羽だけを飼う。
すると、鳥は飼い主を恋人のように慕い、人なつこく甘えてくるようになる。
そんな話を以前聞いていたこともあり、私たちは俄然そこにいるコザクラインコを飼う気になってしまった。もちろん、私の心の片隅では「止めておけよ、これで犬4匹に熱帯魚に、メダカにセキセイインコ、そのうえコザクラインコまで飼うというのか。誰が世話をするって、俺に決まってるじゃないか。もう生き物係は止めておけよ」。そんな声がずっとブツブツつぶやいていたのである。
しかしカミサンの方はもう、新しい鳥かごを見たり、コザクラインコのエサはどうすればいいのかと店員に聞いたりしている。
私はといえば、その鳥の入ったカゴに「特価」と書いてあるのが気になって、思わず尋ねてしまった。
「これは、もう幼鳥じゃないんです。だからなかなか人に慣れなくて、手乗りにするのは難しいと思います」
そういうことか。要するに嫁に行きそびれた鳥だったのか。
それを聞いて、かえって私もその鳥を飼う気になってしまった。
「おい、本気か? 飼うのかよ」
心の中でいまだにささやいている声を打ち消し、とうとう私たちは嫁に行きそびれたコザクラインコの飼い主になってしまった。
「名前、どうする?」
カミサンが聞いた。
「そりゃ、サクラだろ」
「そうね、やっぱり」
カミサンもコザクラインコの名前はサクラと思っていたらしい。
なんだかね。。。。
嫁に行きそびれ、人になつきにくくなってしまった鳥を家に連れ帰ると、待ち構えていたわが家のラブドッグどもが新しい家族を物珍しそうに嗅ぎまわる。性格に難のあるフレンチなどは、カゴから飛び出している羽に食いつこうとしてカミサンに叱られていた。
ラブバードね。はてさて、わが家の誰を恋人にするのやら。
それよりも、まず人に慣れてくれるかどうか。
うれしいような、大変なことをしてしまったような、思わずひとつ、溜息をついてしまった。
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